皆さんはUIをデザインする際に,シナリオを有効活用できているでしょうか?今回は,あとちょっと良いサイトさんのブログを読んでいて,シナリオについてその通りだなぁと思った記事をシェアします.

シナリオが作れてもUIを作れるわけではない  – あとちょっと良いサイト

私はシナリオを使ったUIのデザインに着目して勉強していたことがありますし,今でも自分がUIをデザインするときにシナリオを作ったりしています.シナリオを使いながら思うのは,シナリオはあくまで特定の利用シーンを描くものであって,シナリオそのものがUIになるというわけではないということです.仮にシナリオを複数列挙するだけでUIが成り立つのだとすれば,多くのUIはウィザード形式に近しいものになるはずです.しかし,現実にそういったUIは世の中にはほとんどありません.

その主な理由は,シナリオ同士に共通点やトレードオフが多分に含まれる,ということです.例えば,シナリオは違っても使う機能が同じだったり,シナリオ内に登場する機能を使う頻度や,一回当たりの使用時間なども異なってくるので,単純な時系列順に並べることはできないのです.仮に並べたとしても,とても効率の悪いUIになってしまいます.ですので,シナリオで利用イメージを明確化しながらも,同時に様々なトレードオフや制約を加味して,一つのUIをデザインしていくことが求められます.このような作業は,UIデザインではなく,インタラクションデザイン(Interaction Design)と呼ぶこともあります.また,シナリオでは細かいUIについては記述しませんので,これらについても十分に配慮しなければ使い勝手が悪くなってしまいます.

シナリオはユーザがどのような状況で,どのような手順で,どのようなゴールを達成するのかをイメージすることには間違いなく役立ちます.そして,そのイメージを関係者間で共有する上でも間違い無く役立つでしょう.しかし,シナリオをUIに具体化していく過程には壁があると言えます.もし,シナリオデザインとUIデザインの間をつなぐ,インタラクションデザインを支援する方法がもっと整備されたとすれば,シナリオを用いたUIのデザインはよりやりやすくなるのでしょう.今後のデザイン分野の研究に期待したいものですね.