社会人になってから,色んな起業に散っていった同級生と話す機会がとても楽しい年頃となりました.私は理系出身なので,メーカやSIに入社した人が多いのですが,最近彼らと話していて不思議な気持ちになることが結構多いです.

最新IT企業の中では最新ITは使えない

それは企業が強く売り出していて,今後も強化していく!といっているITサービスを,社内ではほとんど使っていないという現象です.とくにクラウドサービス系に多い気がしています.社外への売り込み方としては,初期投資が少なくて済みますとか,ランニングコストが削減できますとか,セキュリティは万全です,などのうたい文句が多いです.

しかし,よくよく聞いてみると,社内では社外のサーバにデータを置くことはセキュリティの観点から禁止しているなどと,当たり前のように言うのです.これは,研究開発や企画の人達は業界のトレンドに追従していることに対して,社内システムの担当がそういったトレンドとは無関係にのんびりやっているため,このようなかい離が起きているのかもしれません.

使わないものを本当に勧められるわけはない

自社で使わないサービスを,どうして他社に勧められるというのでしょうか?売り出したいサービス,強化していきたい事業なのであれば,自社でドックフード(自分で作ったものを自分で使うこと)することは当然だと思うのですが,不思議なものです.例えば,Amazonは自社のリソースを活用するためにEC2を開発し,今ではそれ自体で商売をしています.また,Twitter社はTwitter Bootstrapを開発し,フリーで公開していたりもします.

今後,グローバル化やITの発展によりどんどん研究開発速度は上がっていくので,かい離はますます大きくなっていくでしょう.まだ問題はそこまで表面化してはいないかもしれませんが,これらのかい離を無視し続ければ近いうちに研究開発に大きな影響を与えることになるでしょう.自分が使わないものを良く作ることは,とても難しいことです.

従って,経営層は研究開発に対して檄を入れるだけでなく,社内向けの部門もしっかりとトレンドに追従できるように,新陳代謝できる部門にしていくことが必要だといえます.進化速度が速まっている現代において,研究開発を健全に行うためには,研究開発部門は当然のこととして,研究開発と無縁の部署でもきっちりトレンドを追っていくことが求められるようになっているのです.