卒論・修論を書くことは学生にとって一大イベントですね.めんどくさいなどと思う人も多いと思います.確かに,論文を書くことはとても難しいことですが,自分がやってきたことをまとめる良い機会でもあります.せっかくなので,しっかりと取り組むことをオススメいたします.ということで,少しでも皆さんが良い論文を書けるように,論文の質をぐっと高めるための論文作成テクニックについて,いくつか紹介していきます.

論文のテーマ(主題)を明確化する

まず,何を伝えたいのかを明確にしておくことが重要です.日記ではないので,やったことを単に述べれば良いわけではありません.論文を通じて何を主張したいのか,よく決めてから書き始めましょう.主題が明確になれば,論文の半分は終わったようなものです.主題を明確にするには,まず目標規定文(自分がこれから論文で主張しようとする内容を簡潔に表す文)を書くと良いでしょう.それにより自分のすべき話の主題をまとめることができ,論文を書いているときに迷ったら戻ることができるようになります.この目標規定分を見せて先生や先輩から理解が得られないのは論外です.とはいえ,一回で完璧な目標規定文を難しいので,少し自分がやってきたことを整理したり,既存研究などを読み直しながら,繰り返し洗練させていきましょう.

議論する際には事実と意見を分ける

議論する場合には,主張を支持する事実を集めて,事実から自分の意見をまとめていきます.このときに,事実と意見を混ぜないことが重要です.事実と意見を混ぜてしまうと,どこまでが事実で,どこからが自分の主張なのかが見えなくなり,読者が混乱してしまいますし,論文の信頼性が低下してしまいます.また意見も単なる私見ではなく,できる限り事実に裏付けされたものになるように注意してください.とにかく,まずは事実と意見の違いをしっかり認識し,意識することから始めましょう.事実とは,証拠を挙げて裏付けすることの出来るもの,そして意見とは,何事かについてある人が下す判断のことです.

シンプルに書く,著者の苦労など知りたくはない

研究をしていると苦労したことが沢山あったりするので,ついついその苦労を伝えたくなるのですが,論文を読む読者(主に先生)は,論文上でその苦労を知りたいは思いません.ですから,自分がたどった紆余曲折をレポートにまとめるのではなく,主題に沿って最も簡明な文章構成をすることを心がけましょう.例えば,簡明な構成になっていれば,節の書き出しだけをとばし読みしていくと,各節で伝えたいことが読み取れるようになっているはずです.

また,論文では難しい言い回しや,難しい文法を使いたくなります.これにより凄いことを言っているように見えることは確かです.しかし,それは所詮そう見えるだけでなので本質的ではありません.むしろ読者の認知負荷を高める害悪となり得ます.論文とは,専門的なことを専門家でなくても理解できるように書かれていることが理想です.例えば,受動態ではなく能動態で書く,一文は短く書く,漢字も常用漢字だけを使う,平易な言い回しを心がけるなどをすることが重要です.

文章校正は何度も何度もやる

一度で良い文章を書くことはほぼ不可能です.ですので,何度も練り直すことが必要です.それは修論・卒論のようにページ数が多かったとしても同じです.しかし,校正全てをやっていては時間が足りません.だからこそ,戦略的に校正していくことが大事です.まず,校正は章組から始めましょう.誤字脱字や一文一文の校正は後回しで良いです.まず章組がわかりにくければ,いくら文が読みやすくなっても意味がありません.

文章校正は複数の視点でやる

文章校正は複数人でやりましょう.学生であれば先生や先輩に頼むことが効果的です.生煮えな原稿を見てもらうのは恥ずかしいですが,一生大学で保管される文章に恥ずかしい誤りが残るぐらいなら,恥を忍んで校正をお願いするほうが良いです.また,誤字脱字のレベルであれば,後輩にお願いするのも手です.後輩も将来論文を書く一人なので,後輩にとっても良い訓練になるはずです.なお,自分はどうしてもぼっちで,誰にも頼めない!という人は校正の段階で少し寝かしましょう.例えば,一晩寝てから自分が書いた論文を読み直すと,大分客観的に読めるようになります.

おわりに

以上のことをやれば,必ず完璧な論文になるとは言えませんが,意識しておくことで論文の質をぐっと高めることができます.卒論・修論は,先生や先輩方から作文について指導を受けられる最期の機会ですので,真摯に取り組めば必ず糧になります.ぜひ皆さん頑張ってください!