LINEは非常に魅力的なコミュニケーションサービスである。しかし、ユーザが増えるにつれて、機能が追加され、マネタイズも進むことで、どのようなユーザコンテキストで利用すると嬉しいのか分からなくなっている。

「LINEするより電話したい」 | ネットって気持ち悪いですか | 東洋経済オンライン

本ブログでは、LINEがユーザを短期間に大量に獲得できた仕組みと、LINE自体が技術的に優れた機能を提供しているわけではないことを紹介した(LINEが高速にユーザを獲得できた1つの仕掛け)。つまり、LINEはシンプルで使いやすいからこそユーザを大量に獲得できたにも関わらず、そのシンプルさを失いつつある。そのため、どのような状況でどのように利用すれば良いのか、ユーザからは一見すると分かりにくい状況になってしまった。

ユーザは、現在自分がおかれた状況(コンテキスト)に応じて、もっとも楽な手段で目的を達成したいと考える。例えば、遠隔コミュニケーションでは、いつも電話するよりはメールの方が気軽で良い→メールで文字を打つよりは絵文字やスタンプで気軽にやりとりしたい→スタンプだと解読が面倒だから電話でやりとりしたい、といったような具合である。

LINEは、あるユーザコンテキストに対して、シンプルで適切なサービスを提供して成功を収めた。しかし、LINE自体が普及したことで、既にユーザコンテキストは変化しつつある。私にはそのコンテキストの変化にLINEが順応しているようには見えないのだが、次はどのようなコミュニケーションサービスが流行するのだろうか。それは私には分からないが、一つ間違い無いことは、今からLINEの模倣品を作るぐらいなら、次のユーザコンテキストを狙ってサービス開発をした方がうまくいく可能性が高い、ということだ。