以前に、ドコモの2013年春モデル 5インチのスマホは大きすぎるという記事を書いた(過去記事)。思いのほか5インチという大きさを気にしている人が多いようなので、どういった人にとって5インチが最適なのかを、もう少し詳しく考えてみよう。

5インチって何mm?

ディスプレイのサイズは長方形の対角線の長さをさしており、5インチの場合は127mmとなる。これは大体ポケットティッシュぐらいの大きさになるのだが、実際はディスプレイの外に枠がつくのでもっと大きくなる。例えば、5インチスマートフォンの代表格であるXperia Zの場合、対角線の長さは158mm(71mm×142mm)となる。身長が160センチの女性の手の付け根から指先までの長さは180mmぐらいなので、持つと手のほとんどがスマートフォンで埋まる感じになり、かなりの圧迫感となる。

5inch

「5インチ」の意味(外枠は別)

画面の大きさと解像度(画面の緻密さ)

網膜で捉えられないほど綺麗というキーワードで有名になったiPhoneのRetinaディスプレイは323dpi(dot per inch)である。対して、5インチスマホのXperia Zは441dpiとなっていて、Retinaですら人間の目では捉えられないほどに緻密だというのに、Xperia Zの画面はそれよりも35%も緻密ということになる。ちなみに、次世代のテレビといわれている4Kテレビ(4K – wikipedia)ですら27インチの大きさだったとして164dpiである。

そう考えると、フルHDの5インチというのは言葉上(性能上)は魅力的に感じるものの、冷静に考え直してみると少し過剰なようにも思えてくる。フルHDなのであれば、10インチタブレットぐらいの大きさがあっても十分に緻密であり、綺麗に見えるのであるから、5インチに詰め込むよりは10インチで楽しんだ方が良いように思える。

キー入力位置が調整できれば問題ないか?

Xperia Zなどには、文字入力が可能な位置を調整することができる機能がついている。

 Xperia ZのPOBox(文字入力システム)の大きさ/入力位置の変更方法 –  Xperia非公式マニュアル.

これにより、片手で文字入力をしたい人にとっては、通常よりも打ちやすくなる。しかし前述した通り、そもそも物理的にだいぶ大きいので、スマートフォンを支える方に指の力を大分使わなければならず、親指だけで文字入力をするとスマートフォンの把持が不安定になる。例えば、電車の揺れなどに対して不安感が出てくるだろう。そのため、手が大きくない人は潔く親指で操作することを諦めて、人差し指で操作しやすいように入力位置や大きさをカスタムする方が無難である。

結局5インチスマホは誰に良いのか

5インチスマホは、体が大きい人か、片手で操作することを諦めている人であれば特に問題無い。しかし、たとえ文字入力の領域を調整できたとしても、物理的な大きさは変えられないので、スマホで文字入力を頻繁にするような方に5インチスマホはおすすめしない。

解像度の面では、異常に眼が良い人にとって緻密な画面は有効ではあるが、一般的な人にとっては5インチにフルHDは過剰に緻密な画面である。よって、モバイルでフルHDの動画を存分に楽しみたいのであれば、10インチ程度のタブレットを購入した方が良い。

以上をまとめると、5インチスマートフォンは体が大きくて、眼が異常に良い人にとって最適なスマートフォンである。日本にそんな人がどれだけいるかは謎なのだけど、今のところXperia Zの売り上げは好調のよう。実は数値上の性能に目がくらんで、気がつかないうちに体に無理をさせている人が意外と多いのかもしれない。