Togetterなどのまとめを眺めていると、スタンスの違う人々がスタンスの違いを明確にしないまま平行線の議論をしている様子が散見される。しかし、何をもって「良い」とするかは、スタンスによって違うということは明らかなことだ。そのため、議論をする際には、自分がどのようなスタンスで、どのような主張をしているのかをはっきりさせないと、有益な議論をすることは難しい。

炎上ブログのように、あえて自分のスタンスを不明瞭にしたまま違うスタンスにいる人達を煽るような記事を書くことで、不毛な議論を仕掛ける人もいる。つまり、異なるスタンスに立っている人々が「〜〜という条件が抜けている」とか「極論だ」などと批判しやすい場を演出して議論を巻き起こし、露出を増やすのである。確かに、炎上ブログはPVを稼ぐことはできるのだろうけど、読者としては平行線の議論を見せられているだけなので、読者にとってブログ記事の価値が高まっているとは言い難い(アフィリエイトという意味では価値が高まるということは大いにあるけれど)。

一方で、読者においてもスタンスの違いを理解せず、主張だけを見て脊髄反射的に批判する人も少なくない。例えば、一部のニコニコ動画やアイドルのファン、はてな民などの狂信者達はこのキライが強いように思う。だからこそ炎上ブログが流行りやすいというのも一理あるのでお互いさまとも言える。とはいえ、きちんとスタンスの違いを理解して議論ができる人でも、煽られたりして感情的なった状態ではスタンスが崩されやすいことには注意したい。崩れたスタンスを論点にしてさらに煽るというのは、不毛な議論に強い人達の定石の一つである。

要するに、議論を深めるためにはスタンスの明確化と理解が重要になるわけだけど、この技能は他作業でも応用が効くのでぜひ磨いておきたい。例えば、多数のステークホルダ(利害関係者)のニーズを明確化し、その違いを理解しながら双方のニーズを満たすサービスをデザインしていくことには、似たような技能が求められる。そう考えると、もしサービスデザイナと名乗る人が議論下手だったら、その人にサービスデザインは任せるかどうかを一考した方が良いかもしれない。ユーザのニーズを明確に捉えたサービスをデザインすることができる人なのか怪しいものだから。