多くの事業において,収益率を向上させるために効率化を進めて,ムダをどんどん削っていくことは当たり前のことです.しかし一方で,ムダを削ったことによって,将来生み出されるはずだった様々な価値をも削っている可能性があります.
ムダを削れば効率化できる,しかし…
企業では持続的な発展を続けていくために,合理的にムダを排除して効率化を進めます.しかし,この合理性によって,新しいイノベーションの種を正しく評価できずに,ムダと一緒に捨ててしまうことが多いのです(理屈がわかってもイノベーティブになれないワケ).イノベーションのジレンマの著者であるクリステンセンは,様々な業界でこういったジレンマが発生し,大企業が衰退していった過程を詳細に分析しています.悲しい話ですが,このようなジレンマは,何も企業にだけ当てはまっていることではありません.個人の生き方においても同様のことが起こりえるのです。
ジレンマは個人に対しても起こりうる
人は自分で様々なことを学び経験するにつれて,様々なことを予測することができるようになります.そのため,何かの事象に対応する際に,適切にムダを省いて動くことが可能となるのです.これは,効率よく仕事を回したりするうえで,とても重要な能力といえます.
しかし一方で,その能力が高くなるほど,どんな事象に対しても「どうせ〜〜だろう」と予測を立てて,経験することを省略して処理することが多くなってしまいます.確かに,多くの場合その予測は正しく,ムダを適切に省くことができます.
しかし,新しいことへチャレンジする機会が減ってしまい,結果として新しい経験を得る機会が減っていくのです.つまり,ムダとして省いている中にある新しい体験の可能性すらも省いてしまうことになり,新しい価値が自分の中で育まれる可能性を削っていくことになります.そして,ムダ以上に生み出されるはずの価値を削ってしまうことになります.
ムダを活かして「ゆとり」にできるかがポイント
仕事でも趣味でも勉強でも,なんでもそうなのですが「どうせ〜〜だからやっても…」とは考えずに,自分ごととして取り組み,どんな経験でも新たなことを発見・吸収するように考えることが大事です.いってしまえば,ムダが本当にムダになるかどうかは,ある程度は自分自身で決められることなのです.
ムダを活かして,適切にゆとりをもつことができれば,常に余裕をもって,日々成長することができます.ぜひ人生にはゆとりをもって生きたいですね.ゆとりをもつことで自分の可能性を拓き,人生に幅を持たせられます.良いゆとりの取り方について興味がある方は,下記の本がオススメです.
それでは!
ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解
著者トム・デマルコ
コメントを残す