マクドナルドにて「ENJOY60秒サービス」が開始された.私もよく個人作業をするためにマクドナルドを使うので,この施策のおかげでえびフィレオを無料で食べられたりしている.しかし,この施策は無茶だったと各所で話題になっている.
【やはり無理があった】マクドナルドの「ENJOY!60秒サービス」が酷い – Togetter

えびフィレオを食べながら気付いたのは,この施策はおそらくお客様のための施策ではないのでは,ということだ.おそらく,もともとは提供が遅いという苦情が出ていて,さらに標準のオペレーションタイムが定められていて,そのタイムからするとここまで苦情が出ることは無いという判断が運営側で下された.そこで,企画部が考えたのが,ENJOY60秒サービスだとすればとても合点が行く.

要するに,お客様の満足度を上げるためではなく,クルーを引き締める狙いが裏にあって,この施策を実施しているということだ.そう考えると,この施策で客が喜べないのは当然だ.引き締めのためにクルーは苦しみながらも,早く提供しようと躍起になる.しかしその結果,サービス品質が低下するから客側としては良い迷惑である.

もちろん,マクドナルドは安いファストフードサービスだから,サービスの品質に文句を言うのは野暮なのだろうが,お客様というのは,一度ある水準の品質に慣れてしまうとその水準が下がることには耐えられない.このあたりの話は「あたりまえ品質,魅力的品質」の狩野モデル(論文)が参考になる.

これで,実は無料券の配布数がカウントされていて,その配布数が少なければ,お店にインセンティブが発生する,といった仕組みになっているとすれば,引き締め施策としてはそれなりに良い高い効果を発揮するのではないかと思う.

今回のサービスは確かに引き締め施策としては効果を発揮するのだろうが,お客様を見てないお客様のためのサービスというのは,どこかでゆがみが発生してしまうものだ.