ジブリの最新作のかぐや姫を見てきました.会社の上司が凄くオススメしてきたので見ることにしたのですが,私はいまいち没入できませんでした.ジブリ作品でいえば,「風立ちぬ」の方がはるかに没入できました(詳しくは,以前書いた記事をご覧ください).ということで,今日はかぐや姫という作品について語ります.

ストーリーとしては竹取物語をベースにした作りとなっていて,ストーリーが特に楽しいという作品ではありません.また,映像表現については筆っぽい独特のタッチとなっていますが,千と千尋の神隠しほど目で楽しめる作品ということでもありません.とにかく,かぐや姫とかぐや姫を取り巻く者達の心理描写にとにかくこだわった作品だと感じました.なので,登場人物の心理にのめりこめないと,本作はなかなか楽しむことが難しいといえます.

心理描写では,主にかぐや姫とその親の心理と,お互いを想い合う心理,そして想い合うがゆえにお互いに気持ちがずれていく様子を上手く描いて,見事と思えました.おそらく,思春期の女の子を持つお父さんが見ると,大分ぐっとくるのではないでしょうか.しかし私は,お父さん熱くなりすぎだなとか,わかってないな,みたいな気持ちが先行してしまい,いまいち感動できませんでした.

絵のタッチも独特で,今までに無いので目新しいのですが,映画館のような大画面で見るには簡素すぎてものたりない感じがします.おそらく感情移入できていると,逆に簡素であるが故に想像を膨らませやすくなり,良いのだとは思うのですが,私にはものたりない感じでした.家でくつろぎながら,部屋の小さなテレビで静かに見た方がいい気がしました.

また,テレビなどでも前評判が良かったので,それなりに期待値を上げていったこともイマイチだと感じた理由の一つかもしれません.正直なところメディア戦略に踊らされたかな,という感じもしています.エンドロールで,電通,博報堂など,名だたる業者が名を連ねているのを見て,なるほどーと妙に納得してしまいました.

とはいえ,先ほども述べたとおり,私は正直ターゲットユーザではないので当然かなという気もします.なので,ターゲットユーザと思われる思春期の娘を持つお父さんや,子育てを終えた方々などにとっては,自分の思い出と重なって,かなりぐっとくる作品に仕上がっていると思います.娘のいるお父さんにとっては,観る価値があると思いますよ.