最近のトレンドに合わせて,慌ててUXをビジョンに掲げはじめた企業において,内部ではいまだに機能レベルの議論しかできないという,アホみたいな現象が起きている企業が存在します.

これからの時代はUXが大事です.だからそれを考えることができる弊社に発注してください,などという営業の口説き文句は最近良く聞く話です.UXデザイン(笑)を活かしたかっこいい成功事例の資料を見せながら,UXがいかに重要かを説明し,さらにUXデザインによる費用対効果を算出する,なんてことをしています.

しかし,その一方で従業員の働く環境や社内システムに関しては,UXどころかユーザビリティすら満たせないようなシステムを使わせている,といったお粗末な状態になっていることがあります.あなたの企業は大丈夫でしょうか?

例えば食堂なんかを思い浮かべてみると良いでしょう.少ないメニュー,対して美味しくない食事,そっけない食堂のデザインなどになっていませんか?そして,それに対して不満を言うと,食堂として十分機能している,予算との兼ね合いでこれが限界だ,などと釈明されるわけです.

つまり,食堂のUXデザインに予算を割くつもりはないと言ってるのに等しいわけです.こんな状態にさらされている従業員がUXの本当のありがたみを実感することはないでしょう.反面教師にすれば良いとしても,お粗末すぎますね.

UXを実体験できない職場で,その職場で働く社員が真にUXが満たされたサービスやソリューションを提供できることはかなり稀でしょう.仮にUXデザインに優れたサービスやソリューションが生まれたとすれば,それは企業の力ではなく,その人個人のたぐいまれな努力のたまものでしょう.

例えば,弊社は社員のUXを考えて,こんな社内システムを導入しました!それによって効果が〜などと語れれば,ものすごく説得力がでるのに,みすみす事例を積むチャンスを逃すなんて,本当にもったいない話です.社外の事例よりもデータも取りやすいし,リデザインもしやすいので,まずは社内UXについて取り組むことを強くオススメしたいものです.