iPhone6が発売されてからしばらくがたち、街中でiPhone6を持つ人を見る機会が増えてきました。とくにplusを見るとiPhoneだとは思えないぐらい大きいので余計に目につきますね。

さて、iPhone6が一般的な人の手の大きさに比べて大きすぎる、という話は前回記事(iPhone6は大きすぎる)にしました。とくに、片手操作を主とするにはストレスがたまると言わざる得ません。

iPhone6が大きすぎるということはAppleも理解しているようで、ホームボタンをダブルタップすると片手操作しやすいように画面が下にズレる、という片手操作モードが搭載されました。一見、この機能によって大画面と片手時の操作性を両得できているように見えるのですが、少し触ってみると、そんなに単純な話では無いことがわかります。

大きな問題の一つは操作コストです。片手操作モードによってアクセシブルにはなっているのですが、操作コストが高くなりすぎてユーザビリティを損ねています。具体的には、いままでは画面上の1タップで済んでいた戻る操作が、ホームボタンのダブルタップが加わることで、操作数が3倍になってしまいました。さらに、ホーム画面は端末下部にあるので、ダブルタップ後に戻るボタンをタップをするまでの指の移動距離が長くなっています。そのため、指を移動させることにも結構な時間が掛かるので、総合すると戻る時の操作コストは4倍以上になってしまいます。

iPhoneにおいて、画面左上の戻るボタンの操作は頻繁にする操作なので、その部分の操作コストが爆発的に増えるのは、ユーザビリティの観点から好ましくありません。このような理由から、片手モードを搭載したから万事解決とは言い難いのです。

あえて大げさにいえば、iOS(ソフトウェア側)のデザインポリシーと合わないハードウェアにしてしまったといえます。ハードとソフトの融合が美しいApple製品の代表格であるiPhoneがこのようなデザインになってしまったのは残念で仕方がありません。

しかし、このような歪みはあるとはいえ、iPhone6は十分に魅力的なスマートフォンであることに違いはありません。操作感やナビゲーションの分かり易さ、細部デザインのこだわりなどには敬服します。とくに、片手操作を主とせず、かつ大画面を求める方にとっては、iPhoneは先代よりも魅力的になったことは間違いないでしょう。

スマートフォンの使いやすさは自分の利用スタイルによって大きく異なります。自分の用途や利用コンテキストを考えて、自分が使いやすいスマートフォンを選べると良いですね。