とうとう4Kの世界が一般消費者の市場に到来しようとしている。2014年、つまりあと1年程度で地上波でも放送が始まるということで、すごい勢いで高解像度化が進んでいることを感じる。とはいえ、性能ではなく4Kがもたらす「良いユーザ体験」をイメージさせられなければ、4Kで大きなムーブメントを起こすことは難しいだろう。

シャープ、「2つの4K」やIGZOを訴求 – Impress AV watch

4Kはユーザの想像を超えている

4Kとは、フルHD (1920×1080)のさらに2倍の解像度(4096×2160)を持つことをいう。これによって今までよりさらに高画質な映像を家庭で楽しめるようになる。しかし、4Kですよ!すごい性能ですよ!とうたわれても、私のような一般人からすれば「今のテレビ(BD)でも十分キレイなのに、なんで高いお金払ってまで4Kにするの?」という感覚になる。もはや性能がユーザの想像力(需要)を上回っているためである。

性能ではなく体験を想像させる

ゆえに、高性能について語る場合には、ユーザに分かりやすく性能がもたらす良い体験をイメージさせられることが重要といえる。国産のフィーチャフォンと同じ程度の解像度を、網膜がピクセルを認識できないぐらい高精細な(Ratina)ディスプレイといって宣伝したことで、大きな反響を得たAppleは上手く体験を語った例といえる。

ぱっと、4Kにおけるユーザ体験のアイデアを考えてみる。例えば、32インチTVに4Kとなると2倍〜3倍のデジタルズームぐらいは違和感なく実現できるので、そういったインタラクション機能を付け加えることでサッカーやライブの視聴をもっと楽しめるようになるかもしれない。一方で、大型テレビにしてもピクセルの粗が目立たないので、リビングで子供と大人が、画面を分割して違う番組を同じ場所で楽しめるようになる、といったユーザ体験を押し出せるかもしれない。

ここに挙げたユーザ体験は、単なる思いつきの稚拙なアイデアでしかないが、4Kという単語ではなく、ユーザ体験を語った方が、色々と想像しやすくなることを理解してもらうには十分だろう。デザインにおいて、想像できないものを想像しやすくしてあげることは、とても重要なことなのである。

4KでユニークなTVを開発すると良い

個人的には、4Kによって、スポーツを見たい人、家族が多い人、一人で映画を見る人など、ユーザ層をかなり絞ったユニークなテレビ(もしくはテレビの上に載るソフトウェア)が出てくることを期待している。技術の適用範囲が広いほど、ソリューションをぎゅっと絞ることの重要性が高まるのである。

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