ソニーがMD録再機の生産を終了した。技術は必ず陳腐化し、いつかは消えていくものなのであることを痛感させられる。

ソニー、MD録再機の生産を終了。約20年の歴史に幕 – AV Watch 

ソニーは格好良い

私が10代の頃には、多くの人々がレンタルしてきたCDをMDにダビングして、MDを何枚もカバンに入れて持ち歩いていた。様々な音楽を持ち運び、楽しむことが気軽にできるようになってきた時代だった。一時期は、MD再生機を持っていない人は流行に乗れてない感じすらあった。その中でソニーは、少し高いけど格好良いMD再生機を作っており、あこがれる存在だった。しかしそんなソニーのMD再生機も、もはや生産が終了となる。

パラダイムシフト間隔は短くなった

ソニーといえば、カセットテープ、CD、MDと、一時代前までは携帯音楽再生機器ではトップを走り続けた企業である。しかし、MP3メインの再生機に移行する際にパラダイムシフトがうまくできずに、その牙城はもろくも崩れ去った。

上記に見る通り、技術は必ず陳腐化し、新しい技術にパラダイムシフトしていく。例えば、カセットテープ、CD、MD、HDD、フラッシュメモリといった具合である。最近では、技術のパラダイムシフトの間隔が短くなってきている。しかし、ソニーは囲い込みをするための独自技術を貫き続けた結果、短い間隔に乗り遅れて他の波に飲まれてしまった。これだけが、衰退の原因とはいえないが、今では携帯再生機のシェアをAppleなどの他社に奪われることとなってしまった。

変化のタイミングを見極めること

ソニーの衰退に見えるように、技術で勝負する企業は正しいパラダイムシフトの間隔を見極めながら技術革新を進めなければならない。技術革新を正しく行うためには、技術そのものの錬磨も重要だが、ユーザがどのような状況で、どのような品質を、どのような価格帯で求めているかをしっかりと把握し、その方向性をきちっと定められることが重要である。そのような嗅覚がある経営者やリーダがあなたの会社にいるだろうか?いないのであれば、あなたの会社の荷物を段ボールに詰める準備をした方が良いかもしれない。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ
著者クレイトン・クリステンセン
価格 ¥2,100