最近の学生は、就活で会社へのエントリー数が45社以上にもなるという。言い換えれば、自分の限られた稼働を45社に分散させているということである。
学生の平均エントリー社数、前年をやや上回る45.2社 – Biz. 誠
効率化した分エントリー数を増やす違和感
最近の採用はウェブエントリーが増えてきており、手書きで履歴書を書いていた時代と比較してエントリーシートを素早く書けるようになり、効率化が進んでいる。これは就活生にとっても企業にとっても良い傾向であるように思える(手書きの履歴書は誰のためにもならない)。しかし、効率よくエントリーができるようになったにも関わらず、空いた時間を自己分析や企業調査に時間を割かず、エントリー数を増やすことに時間を割くことは非常にもったいない。
就職活動とは企業と自分とのニーズをマッチングさせることである。企業は自分が欲しいと思っている人材のタイプをいくつか絞っており、そのタイプを基本的には開示している。そのため、どういった人材が欲しいのかは調べれば分かることが多い。なお、採用ページを見ると非常に優秀な人材を求めているようにも見えるが、実際は求めるいくつかのタイプを統合した像になっていることが多い(もちろん、タイプを統合したような非常に優秀な人材が来たら良いと願ってはいる)。
量よりも質を目指した方が自分のためになる
就活生は、まず始めに企業が求めている人材のタイプを捉えて、自分がどのタイプにマッチするか分析すると良い。次に、マッチするなら、自分がどのように成長し、活躍し、結果を残したいか、ということをイメージできることが重要になる。この時、企業のニーズにマッチせず、かつ自分のなりたい姿をイメージできないなら、そもそもエントリーをしない方が良い。なにも嘘をついてまで入社しても自分にも企業にも良いことは無い。自分の限られた稼働を有効活用すべきだ。
人によっては、自分が何に向いているか分からないから、とりあえず様々な企業にエントリーするという人もいる。しかし、わずか数時間で他人に自分の将来を描かれるよりも、自分で時間を掛けて自分の特性を把握して、どのように自分を活用できるかを描いた方が良い。もし本当にわからないなら、とりあえずエントリーするよりは、色んな職種の色んな人と対面でインタビューする機会を増やし、社会人に関する生の情報を増やした方がよい。
このような、相手のニーズを理解し、モノの特性を理解して、相手のニーズにマッチするようにモノの使い方をデザインする、という技能は就職活動に限らず重宝する。ゆえに、単に就活捉えて数を打てば当たる理論でエントリー数を増やすよりも、一球一球狙ってエントリーしながらスキルを磨いた方があなたのためになる。
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
著者ドナルド・A. ノーマン,D.A. ノーマン
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