PC遠隔操作ウィルス事件に関する容疑者が逮捕されたとの報道がなされた。報道では、逮捕前に撮影したと思われる映像が大量にマスコミによってバラかまれており、警察やマスコミ関係者が相当な注目をしていたことが分かる。しかし、視聴者は猫カフェで猫と戯れる容疑者の映像などを求めてはいない。

PC遠隔操作 都内の30歳男逮捕 ネット殺人予告 容疑否認

都内の30歳男逮捕=PC遠隔操作で業務妨害容疑—猫にカード、防犯カメラで浮上

この事件の報道を最初に見て思ったことは「こんな映像が見たいわけではない」である。私は、容疑者がどのような人物で、どのような生き方をしていたのかには全く興味がない。そんなことよりも真犯人が、どのような意図をもって、このような事件を起こしたのかを知りたいだけである。さらにいえば、どのようにして警察が容疑者を突き止めていったのか、その詳細を知ることである。容疑者がどのような顔をして、猫カフェで猫を愛でていたかどうかはどうでも良いことだ。

今回の報道は、視聴者のためにデザインされたというよりは、警察がマスコミと一緒になって、鬱憤を晴らすことを目的として報道がデザインされているように思う。容疑者を社会的に、完膚無きまでに叩きのめすためにデザインされた報道である。基本原則である推定無罪(何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される)はどこにいってしまったのだろうか。ブレーキを掛けられる数少ない組織がこぞってこのような報道へと傾倒したことを残念に思う。

また、今回の報道姿勢については多くの人々が不信感を抱いている。

NHKが猫カフェで「盗撮」!遠隔操作犯逮捕の報道でマスコミへ批判集まる#nhk 

近年、警察にしてもマスコミにしても、インターネットの普及によって様々な粗が目立っている。自分達の粗を隠す努力をする前に、自分達は誰のためにサービスを提供しているのかをよく考えて欲しい。どうか自分達に与えられた強大な力を、ニーズに合わせて使って欲しいと切に願う。