自民党峨経済対策と称して、祖父母の孫への教育資金贈与を非課税にしている。このような、ある目的に対して減税を行うことで消費に対するインセンティブが発生し、消費を活性して市場に回るお金を増やすことができる。

子や孫への贈与 非課税枠が大幅緩和

日本では若中層よりも高齢者方が多くの資産を持っている。そのため、高齢者が持っている資産を、いかに使ってもらうかが重要である。多くの企業は、高齢者層の消費者意欲を刺激するような、魅力ある製品やサービスを産みだそうとしているが、なかなか刺激しきれていないというのが現状である。それに比べて、介護系の市場が順調に伸びていることを思うとなかなか複雑な気持ちになる。

2009-03-21 個人金融資産の年代分布 – Chikirinの日記

実際のところ、高齢者自身が自分のために贅沢しようとする層はそう多くない。どちらかといえば、子供や孫のためにという名目の方が財布の紐が緩みやすい。まさにそういった層を狙ってデザインされたのが今回の減税である。加えて、子供や孫への教育目的に限定した上で贈与を非課税にすることで、安易に贈与すると課税対象になってしまうという心配を払拭している。一方で、非課税対象を絞ることで富裕層の節税対策に安易に使われることも防ぐことを狙っている。消費額が一部の富裕層の節税対策を超えなければインセンティブのデザインとしては失敗である。

核家族化や教育の高度化によって若中年層の負担は増え続けている。今後訪れる超高齢化社会では、もはや若者世代は自分自身が生きることで精一杯になる。従って、社会は全体的に高齢者を支えると同時に、余裕のある高齢者には逆に助けてもらう構造にシフトする必要がある。

しかしながら、高齢者は政治家にとって大きな票田であるから、高齢者に対して一方的に不利になる施策を打ちにくい現実がある。もはや、若者世代は全員で声を挙げても高齢者には勝てないほどである。だからこそ、高齢者にメリットがあり、かつ若者層へ上手くお金が流れるインセンティブデザインが必要なのである。今後、より良いインセンティブデザインの施策が数多く施行され、社会構造が上手くシフトすることを期待したい。