金銭などの外的報酬によるモチベーションよりも、自分が成長したいから、などの内的報酬によるモチベーションの方が、知的生産作業に対して効果がでやすいということがダニエルピンク氏によって指摘されている。同様に、自分を制限するルールについても、外的に与えるよりは内的に醸成させるほうが、人間の能力を活かせる。

「仕事中の私用ネット禁止」は生産性を落としてしまうことが判明 – DNA

上記の記事で分かる通り、自分自身でルールを決めて守る場合と、他人にルールを決められて守る場合とでは、精神的なエネルギー消費量が全く異なる。他人にルールを強制されて良い気持ちになれる人は稀である。ゆえに、どんなに効果があると言われているルールを強制的に仕事場に導入したとしても、期待通りの効果をあげることは難しい。ルールとは本来は自分達がより快適に、円滑に物事を進めるために設計するものであるから、他人がルールを設計して押しつけることはおかしいのである。

新しいルールを導入して効果を出したいのであれば、従業員同士に意見を出してもらって、「自分達が決めたルール」と認識させることが必要である。ルールを自分事として捉えられるようになることで、効率よくルールを守ることができるようになる。もちろん、意見を出してもらった結果、そのルールが否定されるのであれば、そもそもルールを導入しない方が良い。

さて、今度はルールを課せられる側の方でも考えてみよう。課す側で書いたとおり、自分達のルールd目の前にどうせ守らなければいけない(避けられない)ルールがあるのであれば、斜に構えてしまうとエネルギーの無駄である。そのルールを自分事として捉えた方が自分の精神エネルギーを節約できる。つまり、変えられることと変えられないことをよく見極めて、効率よくルールを活用すると無駄にストレスを感じずに済む。とはいえ、どうしても自分事として捉えられず、エネルギーを無駄遣いしているのであれば、そのエネルギーをルールのない世界にジャンプすることにつぎ込むことをおすすめしたい。本来は人がより円滑に物事を進めるためのルールに、人自身が潰されたのでは本末転倒なのだから。