ドコモのらくらくスマートフォンが、フランスの通信事業者(フランステレコム-オレンジ)でも導入されるとのことだ。らくらくスマートフォンは世界中のシニアにとって使いやすいスマートフォンになれるかもしれない。

ドコモの「らくらくスマートフォン」、仏通信事業者が導入 – CNET

ドコモのらくらくスマートフォンは、5インチなどの大画面化が進む中で4インチと比較的手に馴染みやすいサイズにだったり、高齢者などのタッチパネルのタッチ特性を分析して、押し込むようなタッチ感を実現することで誤タッチを防いだりと、ITリテラシが低い高齢者でも使えるようにデザインがよく考えられている。

日本国内向けのスマートフォンが海外通信事業者で販売されることは珍しい。なぜかというと、NOTTVのような独自機能がてんこ盛りで、ガラパゴスと呼ばれてしまうほどに独自性が高いためである。一方で、らくらくスマートフォンでは、国内で当然のように提供されている機能をあえて削いでいる(もしくはUI上目立たないようになっている)。その主な理由は、ITリテラシが低いシニア(高齢者)の方々でも安心して使えるようにすることを目指して、シンプルにしたから。そのおかげもあって、大きな変更を加えなくても、比較的簡単に他国市場へ販売を広げることができる。

同じ人間なのだから、高齢者の身体的な加齢特性は日本と海外の先進諸国でも大して変わらない。さらに言えば、ITリテラシに関しては欧州や北欧の方が日本よりも高い傾向にある。よって、言語のローカリゼーションさえ上手くできれば、ユーロ圏でもらくらくスマートフォンが受け入れられる可能性は十分にある。

ただ、私が海外展開に際して懸念しているのはユーザサポート面である。国内のらくらくスマートフォンに対しては、富士通が専用のコールセンタが設けていて、わからないことがあれば電話で懇切丁寧に教えてくれる手厚いサポートがある。探索して課題を解決することをあまり好まないシニア層にとっては嬉しいサービスなのだけれども、海外ではどのようになるのかが気になっている。

ユーザを絞る戦略が大事

グローバル化が進む産業においては、国内向けに全体最適な製品を作るよりも、らくらくスマートフォンのように一部のユーザ層から熱烈に歓迎される製品を作って世界展開した方が、結果的に母数が大きくなることも多い。今の国内市場は、ケータイの種類は多い割に実はどれも似たような特徴の(全体最適な)ケータイしか無く、結局どれを選べば良いのか迷ってしまうのであまり良い状況とは言えない。

今後はよりユーザ層を絞った特徴的なケータイが作られることになることを期待している。将来的には、自分はこういう属性(使い方)だからこのケータイが良い!と簡単に決められるぐらいになったら嬉しい。

ちなみに、日本の製品はクールにデザインされていると思っているフランステレコムの技術者も結構いるとのこと。隣の芝は青いもんですね。