最近、IGZOを搭載のスマートフォンが話題になっている。従来のスマホよりもバッテリーの持ちが良く、安心して長時間使えることが評価されている。しかし、IGZOはもともとバッテリのために研究開発されたものではない。
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IGZOとは液晶パネル用の半導体を指す用語である。IGZOを用いた液晶画面は従来の液晶画面よりも省電力で駆動させられるため、結果としてバッテリーの持ちが良くなる。もともとIGZOの凄いところは、液晶をより発色良く、高精細にできる(しかも生産性が高い)ことなのだが、IGZO液晶搭載のスマートフォンを買う多くの人は、高精細で美麗な液晶画面ということには大して注目していない。
というのも、スマートフォンに向けられた多くの不満はバッテリーの持ち時間である(スマホの不満解消へ、あらゆる手段で電力削る 「電池の持ち」改善への挑戦-日本経済新聞)。それは高精細で美麗な液晶画面を求める声よりもはるかに多い。そのため、IGZO搭載スマートフォンのCMではバッテリーの保ちが強調され、高画質の部分の説明は1秒にも満たない(全身高画質と一瞬表示されるのだけど正直意味がまったく伝わってこない)。CMだけを見ると、まるでIGZOがケータイのバッテリー問題を解決するために開発されたのかと勘違いするほどだ。
最初から省電力狙いで、結果として高精細な液晶画面ができたというなら本懐達成でおめでたいことなのだが、技術者の思いとして、綺麗さと省電力とのどちらをメインに研究していたのかぜひ聞いてみたいものである。とはいえ、どんな経緯があったとしてもニーズとシーズが上手くかみ合わせることができただけでも、十分素晴らしいとは思う。
シーズ本来の価値と違う部分に、商業的な価値が大きく見出されることは少なくない。シーズの価値を限定的に捉えず、どのような魅力がユーザのニーズをがっちり掴むのかを常に捉えられるように、視野を広くしていたいものである。
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