ウッドコーンではなく、木製の筐体自身を振動させることで音を発生させるスピーカをJVCケンウッドが発表した。特に「森の声」という森林の環境音を配信するサービスを同時に展開していて、とても興味深い。
飛騨高山の伝統技法! “森の声”を聴くスピーカーJVC「Forest Note」の新しさ – GQ Japan
見ての通り、筐体が立方体のカラーボックスのようなおよそスピーカーとは思えない形になっていて、筐体内部にエキサイター(接している面を振動させて音を発生させる機械のこと)を搭載することで、この筐体自身が振動して音を奏でられる。
スピーカがユニークなのは見ればすぐわかるのだけど、私が注目したいのは「森の声」という有料の環境音配信サービスである。森の声は320kbpsで月額980円か128kbpsで月額490円かのどちらかでサービスを利用できて、飛騨鉱山と諸塚村の2箇所の環境音をライブストリーミングで聴けるという代物。配信場所は順次増やしていくとのことである。
「森の声」が面白いと思うのは、スピーカだけで商売をするのではなく、スピーカをどのように使って欲しいのかを明確に示し、それに合わせたサービスを同時に展開しているところだ。今までのスピーカ業界では、どの音楽向けのスピーカかといったことは示されてきたのだけど、それに合わせて音を配信するサービスを手がけるという話は少ない。日常に音が溢れかえっている現代において、あえて極端に的(ターゲットユーザ)を絞る取り組みはもう少し注目されても良いように思える。例えば、私が以前にプロトタイプを紹介したカフェの環境音(環境音アプリのコンセプト「Cafe-Noise」)であれば、カフェにあるオシャレ照明付きのスピーカを作るとか、的の絞り方は色々出てきそうである(アイデアの質の評価は要検討だけども)。
しかし、ForestNotesと森の声はどちらも気軽に手を出すには高すぎるものではあるので、普及させていくにはもう少し価格的な敷居を下げたり、音源を増やしたりすることは求められるだろう。とはいえ現状でも、喫茶店やアトリエ、レンタルオフィスなど「場」を売りにしているサービス提供者などの中のアーリアダプタには飛びつく人もそれなりにいるだろう。
個人的には、実際にForestNotesが設置された喫茶店やレンタルオフィスがあれば、一度は訪れてみたいものである。
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