TVをぼーっとみていると「もらったお年玉を何に使うの」と問われた子供が,親から借りたお金を返すといっていた.これを見ていてはっと気付いたのだが「おこづかいを前借りする」という行為は,将来子供が借金地獄に陥ってしまう一つの要因になる.

おそらく,親からしたら将来あげるおこづかいを先払いしているだけなのかもしれないが,ここで注意したいのは前借りは「無利子」であることだ.通常,融資を受ける場合に無利子で借りて返済期限もないというのはあり得ないのである.

おこづかいの前借りに慣れるということは,無利子で融資を受けることになれるということである.つまり利息による損失を考慮に入れられないという状況である.つまり将来,自分で扱えるお金の額が上がっていった際に,具体的にいえば,ローンなどを組めるようになったときに,利息の損失を理解できないままに巨額の契約を結ぶ可能性が高い.

例えば,基本形を元金3,000万円,金利3.0%,期間30年とすると,3,000万円の借入に対して約1,553万円の利息を負担することになる.つまり元金の1.5倍の支払いをするということである.これは,3000万円を前借りして返しているという感覚でいるには,あまりに巨額である.

視点を変えていえば「おこづかいの前借り」とはこどものための超お得サービスで,「ローン」などは融資側ではなく,投資側のためのサービスなのである.ターゲットユーザがまったく違うものを同じように捉えてはいけない.言われてみれば当たり前のことなのだが,世の中にはリボ払いや消費者金融を,おこづかいの前借りのように考えるひとが意外に多いような気がしている.

その一つの要因となっているのは,幼少期のおこづかいの前借りなのではないだろうか.そう考えると,子供には厳しくても,前借りではなく有利子で融資したほうが良いのかもしれない.