プロトタイプ(プロトタイピング)という言葉を良く聞くようになった。プロトタイプとは「試作品」のことを広く指していて、実際の製品を作る前に、本当に作って大丈夫なのかを試すための品である。しかし、プロトタイプと一言でいっても、どのような目的で使うかによって、どのようなモノを作り、何を試すのかは大きく異なる。そのため、どのプロトタイプを作るのかを間違えると期待通りの測定はできない。そこで本記事では、目的別のプロトタイプを3つに分けて整理してみたので紹介する。

1.プロダクト系

プロダクト系におけるプロトタイプとは、実際に機能を詰め込んで量産しても大丈夫かどうかを確認するためにプロトタイプを作成する。ボタンの配置、押下感、大きさや手触りなどを実製品そっくりに作って、破綻していないか、問題無く使えるか、心地よいかなどを検証するものである。そのため、緻密で正確であることが求められるので、1度のプロトタイプにはかなりのコストがかかる。試作品とはいえ、かなり計画的に実施する必要がある。

2.サービス系

サービス系におけるプロトタイプとは、破綻せずに一連のサービスをお客様に提供できるかどうか、またそのサービスはお客様のニーズを満たしているかを確認するために行う。そのため、プロトタイプ自体は精巧にできている必要は無い。また、動作も本来システム的に作り込める部分も人手でやるなど、お客様が十分にサービスを体験できるのであれば問題無い。そのため、1度のプロトタイプにはそこまで時間がかからず、コストもプロダクト系に比べれば安い。とはいえ、検証のためにそれなりに量的データを揃える必要があるので、時間はかかる。

3.アイディエーション系

アイディエーションにおけるプロトタイプとは、どのようなアイディアがユーザにとって魅力的に映るかを探るためのものである。また、自分達のアイディアに足りないものや余分なものを見つける(学ぶ)ことも行う。そのため、モノ自体すら必要なく、適切に使えるのであれば紙芝居や寸劇だけでユーザにアイデアを伝えて、フィードバックを貰うことが可能である。そのため、1度のプロトタイプ時間は非常に短く、また検証作業というよりはフィードバック(気づき)を得ることが主眼なので、データも量的というよりは質的に取得することが主である。

まとめ

このように、目的によってプロトタイプの作り方も使い方も違う。なので、自分がどのような目的でプロトタイプを作るのかを認識しておくと、コストを下げられたり、得たいデータを効率よく取得できるようになる。同じプロトタイプなのだけど、目的によってそれなりに違いがあるので、しっかり覚えておきたい。