ふと立ち寄ったタリーズで面白い光景を見た。なんとタリーズに「朝のYoo」と「こども麦茶」が鎮座しているではないか。タリーズと言えばオシャレなカフェで、とてもそういった飲みものが置いてある雰囲気はないのに、堂々とレジ前で目立つように置かれている。

タリーズに朝のYoo

おしゃれなカフェに鎮座する「こどもの麦茶」と「朝のYoo」…

とても興味深く、あまりに興味深いので、店員さんに「売れるんですか?」と声を掛けたところ、若干いぶかしげながら笑顔で「よく売れますよ」と答えてくれた。この小さなサイズの飲み物としては、破格の値段設定であるにもかかわらず、売れるらしい。

よくよく聞いてみると、このタリーズは保育所の近くにあるので、小さな子供を育てている奥様がよくお茶会に使うらしく、子供と一緒に奥様方が来店することが多いそうだ。なのでカフェの雰囲気にはいまいち合わないとはいえ、子供に安心して与えられる飲み物が併売されていることは、奥様方にとっても一緒にいる子供にとっても嬉しいことなのであろう。言ってしまえば単なる冷蔵庫と飲み物が売られているだけなのだけど、一般的なカフェの定義に囚われず、見事にデザインをしているといえる。

ビジネス的な側面でいっても、奥様は比較的単価が高く、かつママ友と一緒に来店することが多いので、奥様と子供と一緒に常連とできれば、単純に子供向け飲料の売り上げだけではない、大きな売り上げを望める。もう少し推察すると、保育所から子供と一緒に帰る際に立ち寄るということは、比較的滞在時間が短くなるので、カフェの客してはとても効率がよいとも考えられる。

この風景は、カフェの販売品目を一つとってもユーザを観察し、要求を満たすようにデザインをすることがいかに重要かを再認識させてくれる良い事例だった。自分もこのぐらいシンプルで効果的なデザインを上手く生み出せるようになりたいものである。