ベンチャー企業などで用いられているリーンスタートアップという,サービスをスタートアップする際のマネジメント手法を良く聞くようになった.今さらだけど,リーンスタートアップとは何か,その特徴とは何なのかを簡単に紹介する.

 リーンスタートアップとは

リーンとは,「やせた」という意味を持っており,できるだけ小さくサービスをスタートアップすることを指す.リーンスタートアップのプロセスは,構築,計測,学習の3ステップの繰り返しによって成り立っており,プロセスを繰り返す毎にピボット(戦略を変更する)か,方針を変えずに進めるかをサイクルごとに判断していく.このプロセスをできるだけ短期間に回すことで,顧客の望みを捉えながらサービスを適切に素早く改善する.

構築

ユーザに価値を伝えられる最小の製品(MVP: Minimum Viable Product)を素早く構築し,小さく実践する.例えば靴のオンライン販売で大成功したザッポスは,近所の靴屋に頼んで,在庫の写真を撮り,オンラインにアップロードするところから始めた.つまり,システムを構築する前に実践し,自分のサービスが持続可能であることを検証したのである.

このように,とにかく実践することで,顧客やステークホルダの実態を理解できる.さらに,ユーザのニーズを明確化したり,予測できていなかった思いがけない発見をすることもできる.机上検討に時間を掛けるよりも,実践を通じて有望だと思えるアイデアをたくさん試し,ダメな部分を見つけてピボットを繰り返すことに時間をかけることで,良いアイデアに到達する可能性を高めることができる.

計測

構築したMVPの効果を実践を通じて測定する.実践して結果が芳しくなければ,戦略を考え直さなければならない.深く観察して情報を集めて,どうすべきかを考察し,必要であれば戦略を修正(ピボット)していく.

計測に役立てられる指標がいくつかあり,新規顧客のアクティベーション率,コンバージョン率,サインアップ率,リピート率,退会率などが挙げられる.これらの数値は,継続的なサービスの成長速度に繋がる数値であるから,注意深く見ておいた方が良い.例えば,製品の改良などを通じてリピート率が増えたとすれば,それは製品の成長率に寄与した,と判断できる.

逆に,顧客登録数やアプリダウンロード数などは,事業規模を知ることには役立つが,将来予測を立てることには役に立たない.なぜならば,これらの数値は宣伝などによって簡単に上下するものだから.役員をだますのには使えるかもしれないけど,計測にはおすすめできない.スタートアップにおいて重視すべきなのは,現在より未来の価値であるから,何にしても成長を支える指標を計測した方が良い.

学習

最初から完璧な製品を作ろうと思わずに,MVPでどんどん試しながら学びを得ることが大事である.誰も欲しがらないものを高品質に納期厳守で作っても何の意味もない.なので,ユーザが本当に欲しいモノを作れているのかを常に確認することが大事である.とはいえ,顧客はなにを自分が望んでいるのかを答えることはできないので,顧客に聞いても仕方が無い.なので,自分達が深く顧客を観察して,自分達で発見,判断する必要がある.また,正しく学ぶには,そもそも誰が顧客なのかを定めておくことが非常に重要である.顧客が明確でなければユーザが求める価値や品質もまた不明瞭ということなので,正しく観察することは不可能に近い.

まとめ

リーンスタートアップを正しく使うことで,素早くサービスをスタートさせ,適宜方向転換(ピボット)しながら成功に近づいていくことができる.とはいえ,あらゆるサービスのスタートアップに対して有効であるとは言い難い.選べる選択肢の一つとして知っておくのがちょうど良いのかもしれない.もし興味があれば,リーンスタートアップという本にやり方が詳述されているので,読んでみることをおすすめする.