砂袋の重みで発電する GravityLight に注目が集まっている.電池や燃料が手に入りにくい発展途上国で大いに重宝しそうな素晴らしいイノベーションである.技術的に新しいようには見えないのだが何がイノベーションだと言うのだろうか.

動画:重力で光る照明 GravityLight、量産に向け出資募集中

正直な話,技術者がこのライトを見たとしても,技術的に言えば新しいことは殆ど無いと言える.むしろローテクである.性能も所詮は一般のLEDライト一個分でしかない.しかし,この製品はイノベーティブである.

イノベーションとは,シンプルな解でユーザのニーズをピンポイントに打ち抜くことでも実現できる.しかし,シンプルな解で受け入れられるには,ニーズに対する合致率が高いことが条件になる.それを外すと単にチープで見向きもされない製品になる.逆に,機能を詰め込めば詰め込むほど複雑にはなるが,多くのユーザを部分的に満たすことができる.しかし,多くのユーザにとってオーバスペックで高価な製品になる.

今までの日本はどちらかというと常に後者を目指してきた.全部入りケータイなどが良い例である.しかし,ニーズが多様化し,さらに市場が世界に広がっている今ではなかなか通用しない.対して,このGravityLightは前者のイノベーションを見事に達成している.

では,どうすればピンポイントにニーズを狙えるのだろうか.実をいうと,一回でニーズを打ち抜くことは不可能に近い.そのため,開発者は試行錯誤することが求められる.素早くプロトタイピングして,実際のユーザに試してもらう,そして観察して学びを得る.このサイクルをできる限り早く実行することである.このとき重要なのは,どのように観察して学びを得るかである.その方法については,リーンスタートアップ,リーンUXなどのキーワードと共に語られるので,興味がある場合は調べて欲しい.