一般にコミュニケーション障害(笑)といわれるのは,相互理解の不足でしかない.相互理解無くして,コミュニケーションは成り立たないのである.

コミュ障に悩む技術者へ – Togetter
Re:コミュ障に悩む技術者へ。 – Togetter

コミュ障に悩む技術者へ をまとめた方は,日本人が得意と言われる「空気を読んだ」会話が得意な方だと考えられる.日本では元来,空気を読む(ハイコンテキストな)会話が多い.これは,伝わる人同士の間ではとても心地良く,効率の良い会話であるといえる.

空気を読んだ会話は,共通認識がしっかりしていなければできない.しかし,技術が得意な人には,俗にコミュニケーションが得意と自負する人々が持つ共通認識を持っていないと言える.その変わりに,プログラミングが得意だったりシステム構築能力に優れていたりするのである.ゆえに,彼らのコンテキストに合わせて質問ができれば,しっかりと答えが返ってくる.

私は職業柄インタビューをすることが多く,インタビューイは私と異なるコンテキストを持つことが多い.そのため,インタビューイの持つコンテキストを理解し,聞き方を工夫しなければ,限られた時間の中で,欲しい答えを手に入れられない.なので,聞き方を変えたりツールを使ったりしながら,あえて同じ内容を聞き直したりする.そうすることで,インタビューイの答えたかった答えを導くのである.

コミュ障と断じている人達は,自分の持っているコンテキストとずれる人とのコミュニケーションにおいて,相互理解をおろそかにしていないだろうか.さらにいうと,技術に長所を見いだしている人に,相互理解の努力まで求めるのは,自分が奢っているといえないだろうか.

外資が見たら頭を抱えると言っているが,コンテキストがずれるのは人種が混ざっている海外(北欧,アメリカ)の方が当たり前である.よって,この問題はよく研究されており,手法も提案されている.手法が日本のハイコンテキスト文化にそのまま使えるとは限らないが,学べるところも多いのではないだろうか.

とはいえ,コミュニケーション能力が求められるレベルのIT技術者は今後は生き残れない,という点は真理なのかもしれない.というのも,本当にギークなIT技術者は,見るだけで凄いと理解できるような成果物を生み出せるからである.そのような技術者は言語や人種の壁を越えて,世界中で活躍している.そんな人材には,コミュ障(笑)などと馬鹿にするような人ではなく,コンテキストを合わせて適切にコミュニケーションしようとする,優れた人が寄ってくるのである.

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