世の中のイノベーションプロジェクトが成功しているのはたったの4%で、ほとんどは失敗に終わっているという [Doblin Inc.]。会社を継続的に発展させるためには、イノベーションがキーであることは誰しもが認識するようになってきたのに、なぜ未だに失敗する確率がここまで高いのだろうか。

その一因として、イノベーションを正しく捉えられていないがゆえに、闇雲にイノベーションプロジェクトを走らせていることが挙げられる。では、イノベーションをどのように捉えれば良いのだろうか。本記事では101 design methodsに記載されている、イノベーションを正しく捉えるための4つの原則を紹介する。

原則1:Build Innovations Around Experience

ユーザを深く理解し、ユーザの体験を豊かにする解を見つけられれば、それは素晴らしいイノベーションになる。これは、ソフトウェア業界などではユーザエクスペリエンス(UX)という単語で広く浸透している。

しかし、体験をデザインすることは容易ではない。エスノグラフィなどを通じてユーザやユーザの行動、取り巻く環境などをつぶさに観察し、深く深くユーザを理解しなければならない。深い理解は従来型のマーケティングリサーチでは、得ることができないと認識したほうが良い。

原則2: Think of Innovations as System

イノベーションは単体で成り立つものではなくシステムである。つまり、複数の要素が適切に組み合わり上手く動くことによって初めて成り立つ。例えば、AppleのiPodにしても、iTunesがなければ上手くいかなかっただろうし、iPhoneにしてもApp Storeがなければ上手くいかなかっただろうと言われている。このように、個々のイノベーションを組み合わせて、大きな一つのシステムを構築できると、その効果はより大きなものにできる。

原則3: Cultivate an Innovation Culture

いくら手法論やツールがあっても、イノベーションを起こすための文化が醸成されていなければ効果が薄い。イノベータだけでなく、デザイナ、開発者、エスノグラファ、ビジネスプランナ、経営者など、各々がイノベーションを起こすためのプロセスを理解し、一丸となって取り組むことが求められる。とはいえ、いきなり大きく変化するのは難しいので、まずは小さなプロジェクトなどで文化を醸成し、事例を積み重ねていくことが必要になる。

原則4: Adopt a Disciplined Innovation Process

「イノベーションをプランニングする」ことは矛盾することではない。成功しているイノベーションプロジェクトの多くは無秩序に進んだわけではなく、きちんと計画され、マネジメントされている。なので、イノベーションを生み出すための方法論と反復型のイノベーションプロセスとが、よく整備されていることを理解し、受け容れることが重要である。もちろんイノベーションを起こすには、技術的な話や、金儲けのための話などと、上手く調和を取りながら進める必要があるので、受け容れは簡単ではない。しかし、これらを上手く統合してイノベーションプロジェクトを進めることができれば、市場から熱烈に歓迎される、お金になるイノベーションが生み出せる。

まとめ

今回はイノベーションを正しく捉えるための4つの原則についてかなり要約した上で紹介した。実際にプロジェクトを進める際には、色んな制約が山積していることも事実なのだけど、まずはプロジェクトの関係者がイノベーションとはどんなものなのか正しく捉えられることが、イノベーションを成功させるのための一歩になることは間違い無い。

101 Design Methods: A Structured Approach for Driving Innovation in Your Organization