イノベーションを起こすための方法論がよく整備されていることは以前に述べたが、今回はその方法論が具体的にどのようなモデルになっているのかを紹介する。

101 design methods によれば、イノベーションデザインプロセスモデルは4つの大きなカテゴリに分けられており、さらにその中に7つのモードが含まれている。モードの中には、7つのモード合計で101の手法があるという構成になっている。まず始めに、4つのカテゴリについて見ていこう。

I. Research(調査):

現場におもむいて実際のユーザの行動を観察するなどしてデータを集めること

II. Analysis(分析):

実際に得られたデータを分析して、ユーザのメンタルモデル(ニーズ)を具体化する。

III. Synthesis(統合・調和):

アイディアを生み出し、それらのアイデアを組み合わせて新しいコンセプトを作り上げる。

IV. Realization(実現):

作り上げたコンセプトを、ユーザに伝えやすいように形にする。

以上のことは、ある種当たり前にも見えるのだけど、101 design methodsにおいては、Synthesisのステップで奇抜なアイディアを1つ取りあげるのではなく、いくつかのアイディアを上手く組み合わせることによって、初めて新規性の高いコンセプトを作り上げることができる、と述べていて興味深い。なお、文章の都合でこれらのカテゴリを順番に並べているが、このカテゴリに正しい順序はない。進めていく内に戻ったり、ジャンプしたりと様々な変遷を辿るし、プロセスを何度も繰り返しながら、少しずつ良い解に辿り着いていく。開発でいうアジャイルと似た考え方であるけど、アジャイルよりもプロセスが無秩序に見えるかもしれない。

次に、4つのカテゴリに含まれる7つのモードについて紹介する。

1. Sense Intent(目的の明確化):

最新情報や技術について調査したり、それらの時代変化のマップやトレンドマップを創ってみたりする。そしてイノベーションを起こせそうな仮説の卵をいくつか作り出す。

2. Know Context(状況の理解):

イノベーションが提供される状況や雰囲気、出来事などを深く理解する。データ調査、比較調査、専門家へのインタビューなどを実施する。

3. Know People(ユーザの理解):

イノベーションを提供する人々を知る。フィールド調査、インタビュー調査などを実施して、得られた気づきをまとめておく。

4. Frame Insight(気づきを捉える):

色々な調査で得られたデータをソートやクラスタリングして分析する。特徴的な気づきを探すとか、全体の関係性をモデリングするとか、行動のパターンや属性のパターンを作るなど、様々な分析方法を通じて自分達が得た気づきを具体的に捉える。

5. Explore Concepts(コンセプトを発想する):

新しいコンセプトを生み出す為に、ブレインストーミングなどを通じて発想する。自分達が得た気づきをカバーするような原則、前提や仮説を組み立て、その範囲でブレストを実施し、得られた結果をまとめていくことでコンセプトを見出す。

6. Frame Solutions(ソリューションを捉える):

得られた小粒のコンセプトをベースにしてより大きなソリューションを組み上げる。コンセプトを統合できないか考えたり、評価したり、プロトタイプをしてソリューションを具体化したりと、様々な方法を使ってソリューションを具体化していく。

7. Realize Offerings(実現を目指す)

ソリューションが具体化できたら、それらを実現するための準備をする。プロトタイプを作ったり、マーケティング戦略などを立てたり、自分達のリソースや実施しなければならない開発事項をまとめたり、予算や人を集めたりする。これによって具体的な開発が動き出す。

まとめ

以上の4カテゴリに属する、7つのモードを上手く使い分けて、反復しながらイノベーションを目指すことで、より成功率の高いプロジェクトにすることができるという。サービス企画・開発にお悩みの方は、自分のプロジェクトがどういう現状にあるのかを、このプロセスモデルを使って整理してみると成功へ一歩近づけるかもしれない。