皆さんは画期的なアイデアを思いつくのは得意だろうか.おそらく,自身を持って得意だ!といえる人はそんなにいないのではないか.しかし,クリエイティビティというのは「生まれより育ち」で決まる.つまり,自分の努力次第で伸ばせる能力といえる.「イノベーションのジレンマ」という著書で有名なクリステンセンは,創造性とイノベーション能力を鍛えるには,関連付力,質問力,観察力,ネットワーク力,実験力の5つが重要といわれている.今回はそれぞれの能力について簡単に紹介していこう.

関連付力

何か新しいことを生み出すためには,一見関係のないように見えるものを適切に関連付けることで,新しい価値を産みだせる能力が大事である.関連付けの能力を伸ばすためには,自分や会社が抱えている問題で,強制連想トレーニングをやるとよい.無関係な項目やアイディアをランダムに選び,自分の問題とどのような関係があるかをじっくり考えると良いエクササイズになるのでおすすめである.

質問力:

いくら関連付力があっても,そもそも関連付けのもとになるデータがなければ能力を十分に発揮できない.なので,知らないことをキチンと聞けることは自分の知識を増やすために非常に重要な能力である.

質問力を養うためには,日頃から5-why(なぜそうなっているのか,その理由を5段階掘り下げること)や,グループである事象に対して質問をする訓練をすると良い.とにかく,馬鹿だと思われることを恐れて質問しないでいると,なかなか馬鹿から抜け出せない.

観察力:

質問だけでは,人の意識に表出している情報しか得ることはできない.そこで,実際に人々がどのように活動しているのか,また人々を取り巻く環境がどのようになっているのかを観察することによって,人の意識下にある情報を増やすことができる.

具体的には,複数人である人の作業を観察したり,ある場所に行ってどのような人々が来るかを観察したりすることで,質問だけでは得られない様々な気付きを得て,共有できる.

特に,人々が自然に行っている課題を解決するための工夫は貴重な情報である.工夫を注意深く観察し,課題の本質とより体系的な解決策を見い出すことで,新しいイノベーションが萌芽する可能性がある.

ネットワーク力:

質問や観察をするにしても,そして議論をするにしても,多種多様な視点,考え方をもった人々と議論をできることが重要である.多種多様な人々と議論することで,思いがけない観点や新しいアイディアや実現方法が見えてきたりする.自分と違うタイプの人と出会い,繋がることがとても重要になる.

実験力:

一度で完璧なアイデアが出てくることはほとんどない.なので,実験をしてアイデアを検証し,繰り返し磨くことが重要である.シミュレーションだったり,モックアップでも良いので,短時間に沢山の仮説を立てて実験することが大事である.おそらく,実験してみたら微妙だったということの方が多いのだが,何回もやった中の一つに,大きな成功が見つかれば良いので,失敗に悲観せず何度も挑戦すると良い.

まとめ

本稿では,イノベーティブになるために必要な5つの能力を簡単に紹介した.なお,これらの詳細はクリステンセンのイノベーションのDNAに書かれているので,ぜひ読んでみて欲しい.

イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)