多くの習慣に関する助言は，「自分のために時間を使う」という習慣がなければ成り立たない．ところで，あなたは自分に対する時間の投資，という意味を取り違えてはいないだろうか？

人生を変えられる！？　たった１分でできる朝の習慣 | ブクペ

自分の投資のために時間を使うというのは，別に他者の言うことを聞かずに，自分の好きなように生きるというわけではない．重要なのは，自分が時間を使ってこなしている作業を，いかに自分の糧にしていくかである．よって，自分の好きなように生きているからといって，それが自分の投資になっているとは限らない．また，他者から指示された仕事をしているからといっても，それが自分の投資になっていないとは限らない．

他律を自律にして動ける習慣を持っている人は，同じ質の成果を出したとしても，多くのことを学ぶことができるし，その学びを他のことに応用しやすくなる．これは，ダニエル・ピンク氏が述べる，内的モチベーションと外的モチベーションの理論と似たものであり，どんな仕事でも内的モチベーションに結びつけられれば，クリエイティビティを発揮しやすくなる，ということである．

しかし，一点勘違いしてはいけないのは，これを経営者側が労働者側に諭しても効果は薄い．なぜならば，経営者側がそれを明示的に求めるということは，従業員のモチベーションを搾取して，給料や待遇以上の仕事をさせているに他ならないからだ．これを積極的にやる企業は，明るく振る舞っているブラック企業でしかない．

弊社においても，モチベーションを向上させるような研修などを実施しているが，上述したような裏が透けてしまうので，どうしても従業員には響かないのである．他律を自律に繋げる行動は，あくまで労働者側が自分自身で気がついて実行し，その成果は経営層に搾取されることなく，自分の糧として吸収できる状況になってなければならない．