来年度の就活から採用時期が遅くなるようです。遅くなるというよりは、結局間延びして期間が長くなり、就活が大変になるのでは無いかと心配している人も多いようです。

しかし、それはあまり本質的な話ではありません。期間が長くなると心配している人は、基本的に数を打つことを考えているように思います。数打てば合う企業にあたる確率が上がる、という論理は間違いではありませんが、あまり妥当だとはいえません。

普通に生きている人に与えられる時間は、みんな等しく一日24時間です。その限られた時間で可能な活動量にも限界があります。その中で数を増やすということは、一発あたりに掛けられる時間が減るということを意味します。結果として、一発あたりの品質はどうしても下がります。また、人はシングルタスクの方が集中して能力を発揮できる作りになっています。並列してやらなければいけないことが増えるほど人の能力は下がります。

一方で、人には学習効果があります。ある特定のタスクをこなせばこなすほど、単位時間あたりの作業効率と品質をあげることができます。ただし、学習効果は最終的にある一定の効率と品質でサチレーションします。ただ、完全に学習がなくなるわけではないのですが、学習にかける時間に見合わない学習効果(ROIが悪い状態)になってくる、と捉えると良いでしょう。

そのように考えると、むやみやたらにエントリーすることは学習の観点から見ても品質の観点から見ても、妥当ではないと言えます。ですので、ある程度真剣に取り組む会社は絞った方が良いでしょう。特に、大学院生の場合、ある程度自分の志向や専門性が有るはずですので、それをもとに絞ることが比較的容易といえます。

また、適切に絞り、選ぶためにいろんな業界を知りたいからエントリーする、というのも悪くはないのですが、仮に業界の実態を知りたいのであれば、就活担当に話を聞くのはオススメしません。彼らは立場上、業界や会社の悪いところはいえませんし、実態もありのままに話せるわけではないからです。本気で業界をしりたいなら、バイトでもなんでも良いので業界に飛び込む方が良いでしょう。それが難しい場合は、採用に関係ないOBを訪問して、ざっくばらんに話を聞くのが良いでしょう。

また、業界を知ること以上に大事なのは、自分を理解することです。結局何が好きで、何になら時間を掛けられるのかをよく考えるべきです。例えば趣味があったとして、その趣味はどういうものなのか、なぜ好きなのか、趣味のために使ってる能力や技能は何か、などを深掘りするだけでも、自分の傾向がわかったりします。逆に嫌いなものについても同様に深掘りすると、何だけは自分がやりたくないと思っているのかも見えてきます。

もし、それらの中で答えが見つからない、理由が明確にないと思う場合は、情報が足りていない可能性が高いです。なので、好きなものにもっと打ち込んでみるとか、嫌いだと思っているものにあえてチャレンジしてみるとかすることで、情報を増やすことで、自分を知るきっかけを得られます。情報が足りないまま、もやもやすることが一番危険です。簡単なことからで良いので、手足を動かして、自分を理解するための情報を増やしましょう。ちなみに、こういった営みは、就活に限らず役立ちます。プライベートでも、研究でも役立ちます。

就活は楽なものではありませんが、自分を理解し、そして社会を知る良い機会ですので、上手く時間を使って活用することをオススメします。どっしり構えて臨みましょう。