私は強度の近視なので、普段は眼鏡かコンタクトで過ごしています。これらの器具は便利なもので、適切に私の近視を補正してくれています。もし、これらが無かったら、私は現代を生きることは困難でしょう。

しかし、あるときふと思い立って、生命線ともいえる眼鏡を外して生活してみました。すると、外してみることで面白いことに気がつきました。

眼鏡を外して、全ての輪郭がぼやけて、文字も読めなくなった状態になると、色が強く目に飛び込んでくるのです。普段は色よりも、形や文字で認識している世界が、メガネを外した瞬間に色の世界になりました。自分の脳が処理を切り替えたのがわかります。

すると、色のデザインに意識が向くようになりました。一番顕著だったのは駅の構内で、入ってはいけない場所、行くべき方向、危険な場所、路線せの案内など、色々なことが色によって表現されていることに気がつきました。構内は、それに従って動けば、それなりに安全に、迷わず移動できました。色の被りもなく、それぞれの色がきちんと情報を持っていました。
また、普段は色を意識して判断しているつもりはないのですが、無意識的には色を使って判断しているのか、いざ色だけになっても、結構意味が分かることが面白い発見でした。

このように、自分の当たり前を引き算することで、普段は気がつけない色々なものに気がつけます。私のように近視の方なら、眼鏡を外すだけでも気軽な引き算ができます。他にも段差を超えない引き算とか、耳を塞ぐとか、色んな引き算ができます。たまには引き算してみて、視点を変えることで、頭の体操をしてみると良いでしょう。

ただし、不便になるので危険もある程度伴います。用法と用量にはご注意ください。