最近,紙面を賑わせたニュースがいくつかあったのだけど,これらは一見無関係に見えて実は全て高齢者偏重社会の歪みによるところが大きい.

男子生徒自殺 顧問を暴行容疑で告訴 – NHKニュース

退職金減額前に教職員大量退職 – NHKニュース

 高学歴プア 東大院卒就職率56%、京大院卒はゴミ収集バイト- Yahooニュース

麻生副総理「さっさと死ねるように」発言を撤回 高齢者高額医療費問題で – 産経

若者にお金が回らない

これらのニュースは,高校性,大学生,公務員,高齢者をそれぞれ取りあげた話のようにみえる.しかし実態は,高齢者の福祉・医療にお金が掛かりすぎていて,若い世代の社会人や教育関係に,十分な予算と人員が回らない状況になり始めているシグナルである.

あと数年もすると,予算・人員不足がより顕著に見えてきて,さらにひどい状況が訪れるだろう.現在の安部政権は色々な教育政策もやるだろうから,幼児教育や初等教育などにかかる家計負担は減ることになるだろう.しかし一方で,国から教育機関に割り当てられる予算が減り,人員が減ることによって,今後の子育て世代は家計負担以上の負担を強いられることになるだろう.

教育者に期待するなら投資すべき

あるTVニュースで,早期退職した教職員をさして「所詮は金か…って感じですよね」と非難する主婦を見た.しかし,早期退職者は経済合理的に全く正しい行動をしているのに,否定されるいわれはない.

むしろ,教育がプライスレスだと考えるのであれば,私費で良い私立に通わせ,ついでに塾や家庭教師もやれば良い.とはいえ,高齢社福祉と子供教育との予算の食い合いに気がつかないまま,いくら私費を投じて教育しても,現状が今後も続く(もしくはもっと悪くなる)なら,高学歴ワーキングプアになる可能性が高い.

流れを変えられるのは高齢者だけ

若者の皆さんは,この負のスパイラルに気がついても,大きなムーブメントは起こせない.この惨状に気づき,効果的な対応ができる人は,マジョリティである高齢者しかいない.もはや若手は気付いても声をあげる暇もないし,たとえ声をあげても高齢者には勝てない.なので,高齢者の方々にはなにとぞ若者世代に手を差し伸べていただきたい.

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